株式会社イベントサービス 代表取締役
森本 福夫様
大学3年生の時に通訳案内士に合格。第一期目の合格者となる。大学卒業後は商社に就職するも、希望の海外配属が叶わず3年で転職。次の旅行会社でインバウンド、アウトバウンド両方の旅行手配・添乗業務に長年携わる。その中でインセンティブツアーにおけるイベント演出のニーズを肌で感じ、独立。1981年にインセンティブ・イベントに特化したイベントサービス社を起業。日本におけるMICEイベントの企画会社として先駆者的存在。
INTERVIEW
事業内容とインバウンドへの取り組みについて教えてください。
海外からインセンティブツアーで、訪日する団体のイベントを企画・運営しています。いわゆるMICE(Meetings Incentives Conventions Exhibitions)に特化したイベント企画会社です。イベントの目的は表彰式、ディナー・パーティ、チームビルディング、社員総会、周年記念式典など実にさまざまです。会場もホテルやコンベンションセンターの他に、博物館やお寺などユニークな場所を求めるケースも多々あります。海外のクライアントとメールや電話でやりとりしながら、ご要望をヒアリングし、ふさわしい会場選びから企画提案、当日の会場演出をトータルで提供しています。
もう一つは、イベント用品のレンタルも事業も行なっています。これまで日本文化の和をテーマにしたイベントを数多く手がけてきたので、五重塔や朱塗りの鳥居、鎧兜に大仏など本格的な大道具を自社で開発し取り揃えています。これらの実物を事前に下見してもらえるように、昨年本社の隣にショールームも新設しました。
MICEのイベントに特化しようと思ったきっかけは何ですか?
私の大学時代は1$=約360円と海外旅行がまだまだ高嶺の花だった時代でした。日本の大企業の中では、褒章旅行として社員を海外旅行に招待するというのが一種のブームになっており、旅行会社勤務時代にはそうした海外インセンティブツアーに添乗することが多かったです。現地で表彰式やディナー・パーティをするのですが、海外ではテーマ性を持たせた面白いパーティーが人気となっていました。日本だと、どこも同じようなホテルの宴会場で立食パーティーばかりで印象に残りませんが、海外ではその国の文化や風習を取り入れたユニークなイベントがもうすでに開催されていました。そこで、日本でも趣向を凝らしたイベントができないかと思い、旅行手配は一切やらず、MICEイベントに特化した会社をやろうと思ったのが始まりです。1981年に創業当時は日本から海外へアウトバウンドのインセンティブ・イベントを主に扱っていました。ハワイ、ニューヨーク、ロスアンゼルス、パリ、ロンドン、マドリード、北京、上海など世界の主要な都市ほぼすべてでイベント運営の実績があります。時代の流れと共に海外旅行が一般的になってからは、逆に海外から日本へインバウンドのインセンティブ・イベントのニーズが高まってきました。特にアジア圏からは日本が褒賞旅行先として選ばれる格好の国であり、弊社でも近年では中国・香港・シンガポールといった中華圏の企業から日本でイベントを開催したいというオファーが増えています。
どのようなイベントが求められているのですか?
単にホテルやコンベンションセンターでブッフェ形式のパーティーをするのではなく、イベントにテーマを持たせ、印象に残るようにすることが重要です。ある企業のインセンティブ・ディナー・パティーでは海がテーマだったので、ホテルの宴会場全体を海底にいるような照明と装飾を施し、波の音が聞こえる中をダイバーのコスプレをしたホテルスタッフがドリンクを配りました。参加者たちは驚いて面白がってくれましたし、主催者からも他社にはないユニークなイベントが開催できてよかったと好評を得ることができました。
もう一つ重要な点は特別感を演出できる会場=ユニークベニューを使うことです。定番のホテルや会議場ではなく、博物館や宮殿、船など非日常の空間が好まれます。海外ではパリのルーブル美術館、ベルサイユ宮殿、NYのメトロポリタン美術館などはMICEのイベント会場として利用できます。日本では近年、アジア圏からインセンティブツアーでニーズが高いのは、やはり和をテーマにした会場です。そこで神社やお寺を会場にイベントを企画すると大変喜ばれます。例え、ホテルの宴会場であっても、相撲の土俵を作ったり、夏祭りの屋台の演出をしたり工夫することで、日本文化を感じられるテーマ性のあるイベントを提供できます。
MICE誘致に力を入れている海外では公共施設を積極的に開放していますが、日本はまだまだ後発です。MICEを誘致することでその国にもたらされるインバウンドの経済効果は実に大きいものですから、今後日本でもユニークベニューが増えることを期待しています。
求める人材像について教えてください。
もちろん語学力は必須です。海外のクライアントと主に英語や中国語でメール応対、企画書づくり、手配など行います。語学力以外の点でいうと、とにかく真面目な人です。これまでの採用経験から、真面目な人ほど、仕事の吸収が早いと実感しています。専門知識やノウハウは入社後教えられますから、それをどんどん吸収してくれればOKです。もう一つは、やりたいという意思が強い人です。やる気のある人は会社以外の場所でもアンテナが高く、自ら進んで勉強します。それがゆくゆく企画に反映されるのです。そして、自らが楽しめること。最大限自由に仕事をさせてあげて、個性や才能を発揮してもらうのが一番だと考えています。「楽しませることを楽しめる集団」を社是としていますから、本人が楽しんで仕事できる環境でなければ、良いパフォーマンスは生まれません。本人も会社win winの関係になれることを意識しています。
株式会社イベントサービス
〒135-0053 東京都江東区辰巳3-19-14
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